【コラム】「種の起源」から経営について考える

博物学の幅広い基盤の上に立つ、ダーウィンの著作「種の起源」より、経営に適用しうるエッセンスがないか探してみました。いくつかヒントになりそうな点を、以下に紹介したいと思います。

種の起源の最も主要な主張は次のようなものです。

自然は飛躍しない

つまり、生物は約38億年前に誕生してから、自然選択により長い時間をかけて進化してきたということです。種の保存が、自然選択と適者生存の上に成り立っており、突然生まれ出た(神によって創造された)種はないというのが、進化論の重要な要点となります。

さらに興味深い点が下記の記述にあります。

かつて地球上に生存した生物はすべて、おそらく、生命が最初に吹きこまれたある一個の原子形態からゆらいしたものであろうと、推論せざるをえないのである。(中略)
現生生物のあらゆる種類はシルリア紀よりずっと以前に生存した生物から系統をひく子孫であるから、われわれは、生殖による通常の継続はかつて途切れたことはなく、天変地異が全世界を荒廃させたこともないということを、確実であると感じてよいであろう。それゆえわれわれは、いくらかの自信をもって、それと同等に、想像できないほど遠いさきではあるが、確かな未来を、見とおすことができる。そして、自然選択はただおのおのの生物の利益によって、またそのために、はたらくものであるから、身体的および心的の天性はことごとく、完成にむかって進歩する傾向を示すことになるであろう。
「種の起源」(下)ダーウィン著・八杉隆一訳 岩波文庫 より

つまり、あらゆる生物は一つから始まったというものです。そして現存する生命は、最初の生命が誕生した約38億年前から途絶えたことがないため、これから先も長く進化しながら生存していくというものです。ダーウィンのいう未来が38億年先であるとしたら、私たちの子孫つまり進化した人類は38億年先にも存在しているということになるのです。

さて、話は変わりますが、これを経営に置き換えると、誰かしらの何らかの意図を持って創造されたビジネスは存在し得ないと解釈できます。突然のアイデアやひらめきで生み出されたように見えるビジネスも、必ず何らかの歴史(基盤)に基づいた連続性を持っているということになります。
その法則に従うのであれば、いわれのない空想や幻想を経営に持ち込むことはせずに、社会の環境に適応できるよう広い視野を持ちながらも、目の前の業務をコツコツとこなしていくことが、生存競争に勝つための最も確実な方法ということになるのではないでしょうか。

企業は、社会に必要とされ、また環境に適応してこそ存在し続けることができます。未来を見据えて日々の取り組みに改善を加え、延々と進化し続けてこそ、未来に存在する企業となれるのだと思います。「種の起源」(上・下/ダーウィン著・八杉隆一訳 岩波文庫)は、経営者の方はもちろんですが、日々新しい価値を生み出すことを職業とするクリエイターの皆さまにも是非お読みいただきたい名著です。