ロカンダ世田谷 マーケティングサロン

ビジネスをデザインするというコンセプトを掲げる当社のすべてのクリエーティブワークは、マーケティング思考に基づいて行っています。なぜ、マーケティング思考でないと成果の出るクリエーティブが実現できないのでしょうか。それはすべてのデザインは必然性を求められており、必然性はすべて説明可能なセオリーに基づいているからです。つまり成果の出るデザインは、なぜ成果が出るか明確な説明ができるということです。

当社メンバーも、マーケティング脳をバージョンアップするため、第17回を迎えた「ロカンダ世田谷 マーケティングサロン」に参加してきました。
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テーマは、続『マーケティングの嘘』<くらリズLaboという視点>(語り手:マーケティングプロデューサー 辻中俊樹)で、この先の中長期的な生活者市場の大きなトレンドについての知識を深めるセミナー形式の勉強会です。以下、題目に簡単な解説を加えながら内容をレビューしていきます。

【題目】

1.<暮らし>のリズムと気持ちスイッチを再レビューすると

・経済社会リズムと異なったリズム

団塊世代が高齢化したことで、経済社会リズムとは大きく異なったゆったりとしたリズムで動く生活スタイルが増加しました。経済社会リズムとゆったりとしたリズムが共存するような社会になりつつあリます。

・典型事例を通して

ゆったりとしたリズムが一定のインパクトを持つ社会において、生活者の実態とのズレが顕著に現れ始めています。また今後ズレが大きくなっていくであろうものの一つに、いわゆる52週カレンダーに沿ったマーケティングがあります。

2.何がマーケティングの嘘なのか

・経済社会の都合

例えば、52週カレンダーでは、6月の第3日曜日に父の日が設定されています。その前後は父の日を中心に売り場が作られていきます。標準世帯がボリュームゾーンではなくなっているいま、父の日なのか、爺の日なのかが曖昧になってきています。自分の嗜好で生きるシニアにとって、爺の日は求められていないかもしれません。ただし、事実として父の日にはビールが伸びます。

・視点、認識の違いとは

視点を変えると、6月の第3日曜日は夏至の前週であり、思わぬ晴れ間に”気持ちのスイッチ”が入る、一年で最も天気の良さを感じることができる期間でもあります。突然、大物洗いの洗濯をしたりというシーンが現れます。その裏側には、日長を感じる感覚があり、ビールを飲みたくなる心理の裏側には、そのような気持ちのスイッチが入っていると言えるのではないでしょうか。
Ex.日長とは何か?

3.生活速度の見直しから10年先をみる

・動物行動学の視野

また、反対にこの時期以降は梅雨に入り、梅雨寒で冷えを感じるシーンが出てきます。その際には、温まりたいという気持ちのスイッチが入り行動することになります。人が天気を捉える感覚は相対温度として、急に寒さが戻ったりすると特に冷えを感じたりするのです。この時にカレーやシチューを食べたくなったりするようです。人の行動は、さなぎが孵る、花が咲くリズムと同じように体験の積算で成り立っています。その意味で、動物行動学の視点から学べるものがあります。動物行動学は例えば、日高敏隆さんの著から色々と学ぶことができます。

・<健康>の基準と価値が転換する

<健康>には、身体の不自由から疾病まで様々な段階があり一括りにはできません。色々な段階があり、それぞれの状態と折り合いをつけながら生活をしています。食べ方や飲み方、歩く速度を含め生活の速度が遅くなることもあります。遅くなることを前提にして、生活をポジティブに捉える考え方が必要になります。それは、働き方改革や子育てなど、シニア以外の生活シーン全体に波及するコンセプトでもあるのです。

4.今後の見通し

・たとえば<集い>のリズムの変質

祖父母、娘や息子家族、孫のような三世代の集いは自由に過ごせたら良いのです。食べるものも、食べるペースもそれぞれ違っていて、それを許容できる、それぞれのスタイルやリズムを認められるシーンが大切になります。多様性の許容というのでしょうか。だから食べるペースもそれぞれ、お酒を飲んでも飲まなくても良い、何を飲むかも自由でいいのです。
Ex. スロードリンク

その他

サロンに参加して、時代が確実に転換期にあると改めて感じました。皆さんも、これまで当たり前だと信じてきた生活習慣の中に、その必然性に疑問を感じ始めていることはないでしょうか。これまで当たり前だと思ってきたことが、実は当たり前ではなくなってくるのかもしれません。例えば仕事、経済、集団生活、マスマーケティング。サロンの中で何度も「n=1」というキーワードが出てきました。「n」とは母数のことで、つまりマーケティングは、一人一人をより深く理解しなければならないということを意味します。心にどの位の深度をもって捉えることができるかが試されています。マーケティングに求められているのは、愛や優しさになってくるのかもしれません。

例えば私は、WEBは「n=1」との相性が良いと感じています。WEBと「n=1」は楽しく共存ができそうです。まだまだ色々な面白い取り組みが生まれてくるのではないでしょうか。時代の変化に対応していくための、皆さんの取り組みも是非お聞かせください。

文章:辻中玲